私が49歳になろうという頃、親の介護が始まってしまいました。
それも、両親が2人ほぼ同時に別々の難病で寝たきりになってしまったのです。
2人そろって亡くなるまで、弟と弟のお嫁さんと私、3人での2年半にわたる介護生活の始まりでした。
親の介護でいちばん辛いのは、いつ終わるかわからないこと。
終わりを望みたくても、終わりはお別れである可能性もあること。
49歳というのは、ちょっと早めの始まりだったと思いますが、このくらいから親の心配をする方が増えてくるように思います。
ときどき、ご家族を介護なさっている方からのご相談をいただくことがあります。
心身ともにどんなに大変か。
でも、とても大切な時間であることは間違いないのです。
私の体験が少しでもお役に立てたらと思います。
その1.「助けて」を言うこと
在宅で介護している間は、弟と義妹と3人でシフト制のようにして両親の面倒を見ていましたが、夜間も何度も起きなくてはならなかったので、熟睡できない状況で、翌日の仕事はほんとに辛いものでした。
その時の職場は幸いにも理解があったので、時短にしてもらう日もありました。
1人暮らしなので仕事は辞めたくても辞められないと思っていましたが、むしろ仕事が気分転換になったりもしました。
弟や義妹とはいつも協力しあっていましたし、ヘルパーさんにも来てもらっていましたが、両親いっぺんとなると、もう猫の手も借りたい状況でした。
でも、自分の家族のことで、誰かの手を借りるということは、意外と抵抗があることなんですよね。
つい遠慮してしまったり、迷惑だろうと思ってしまったり、時には恥ずかしいと思ってしまったりします。
それでも!
勇気をふりしぼって、どんな助けでも借りることがとても大切です。
物理的な助けももちろん必要ですが、「助けて」を言うことで、自分の心が救われたりします。
「死んじゃうかもしれない」とか「こういう時、どうしたらいいんだろう」とか、心がいっぱいいっぱいに張り裂けそうになってしまっているとき、誰かに「今、とても大変なんです。」と言うだけで、気持ちに少しゆとりができたりするかもしれません。
私は介護で腰を痛めてしまったとき、整体のベッドで施術してもらいながら、偶然、隣のベッドにいたご近所さんに「親が大変なんです。」と言って泣いてしまったことがあります。
今思いかえすと、何もそんな場所で言わなくてもと思いますが、普段「助けて」を言えない自分が他人に言えたことで、「私って結構、切羽詰まってるんだな」と自覚できたし、誰かが知っていてくれるということは安心感につながります。
そしてそのあと、ご近所さんにとても優しく励ましてもらうことができました。
どう御礼をしようか?などと考えてしまうこともあるかと思いますが、自分も何かあったら喜んでやってあげようと思うことで良いと思います。
その2.自分の時間を持つこと
3人シフトでも大変だったので、1人でご家族を診ている方はどんなに大変かと思います。
それでも!
自分だけの時間を持つことはとても大切なことです。
親のことは確かに心配だし、通院やら、食事の支度に介助やら、トイレのこともあるし、山のように出る洗濯物やら、やらなきゃならないことは山のようにあるし、もっと丁寧に充分にやってあげようと思えば、いくらでもやることはあります。
でもなにしろ、何月何日に元通り元気になります!と決まっていれば、這ってでもその日までがんばれるかもしれませんが、決まっていないのです。
自分が倒れたら、介護される人が増えてしまいます。
長期戦でもやっていけるような生活のリズムを保つことが必要です。
私の場合、なんと親の介護をしている間に『東方神起』にハマりました。笑
そのころデビューして間もないK-Popのボーイズグループです。
それまでジャズだのロックだの言っていて、アイドルなんて一切興味がなかった自分がいちばん驚きました。
さすがにそのころはライブに行く余裕はなかったのですが、自分のシフトではない日の寝る前のほんのひととき、「かっこいい!」とか「かわいい♪」とか思って歌を聴いたり、ダンスを見たりしている間は、親の病気のことをつかの間忘れることができたのです。
その3.自分を責めないこと
実はこれがいちばん難しくて、いちばん大切なことだと思います。
親の介護をしている頃、私はまだ心の勉強をしていなかったので、自分を責めまくっていました。
元気なうちにああしてあげれば良かった、まだ会話ができるうちにこんな話をしておけば良かった、と過去の後悔から始まって、24時間世話をしたくてもできなくてごめんなさい、自分の時間を持ってしまってごめんなさい、仕事しててごめんなさい、良い娘でなくてごめんなさい。
点滴から栄養をとっている親がいるのに、自分がご飯を食べるだけでひどいことをしているような気になりました。
それにまして、脳の病気だった親から責める言葉を言われたこともありました。
でもね。自分を責めていても誰も喜ばないのです。
暴言は病気が言わせているのです。
自分が介護される側だったら、「そんなに自分を責めないでほしい」と願うはずです。
「見守ってくれるだけで嬉しいよ」と思うかもしれません。
そして、「心配してくれてありがとう」と思うでしょう。
暖かく見守ってくれるだけで、人はどんなに励まされるでしょう。
何が起きても、それはあなたのせいではないのです。
それよりも、たとえ何もできなくても、精いっぱい大切な誰かのために、たくさんやってあげたいと思っている自分を褒めてあげてください。
その気持ちこそが愛のしるしです。
いのちがあって一緒にいられる時間があった。とても大切に思った。愛した。ということが何よりの人生の宝物です。
そんな宝物をもらって見守られている人の人生はとても幸せなはずなのです。
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