仕事をして家事をして、その上、親の介護などがあったりすると
常に時間の使い方を考えたり、どうこなしたら今日これをやりきれるか?とか、
効率性や生産性を考えながら1日を過ごしがちになります。
それほど忙しくなかったとしても
「今日いちにち、何もしなかった~。私って怠け者!」と、自分を責めたりすることがありませんか?
毎日よくそんなにたくさんのタスクをこなせるね!っていうような人が立派に見えてしまいがちですが、
「すごく無駄」と思える時間にも大事な意味があるかもしれません。
海辺で過ごす何もしない時間
私の大好きな場所に(奈良だとかなんだとか、好きな場所が多いですね(笑))静岡県、伊豆下田の田牛というところがあります。
田牛と書いて「とうじ」と読みます。
特に有名な観光があるわけでもない、とても静かなところなのですが、
起伏に富んだ地形と、本当に青く美しい海と、海の向こうに島々が見える雄大な景色と、温暖な気候があります。
いつも泊まるコテージに行く手前で、小さな手彫りのトンネルをくぐって行くのですが、
そこは一種不思議な空間で、そこを越えると別世界にもぐりこんだ感覚になります。
トンネルに入る前はちょっと怖いのですが、通り抜けるとものすごくワクワクします。
そしてその向こうに青い青い海が光っているのです。
海沿いの高台に大好きなそのコテージがあって、自炊なのですが、時々泊めてもらいます。
ご年配の明るいご夫婦が営んでいて、いつも気持ちよく迎えてくれます。
海を見下ろせる庭には、たくさんの花や木や果物が茂っていて、
そのどれもがすごく大きくて勢いがあり、生命力にあふれています。
そこでベランダからキラキラ輝く海を眺めていると、
そのまま何時間でも何日でもそこにいたい気持ちになります。
わざわざ予約して、何時間もかけて行って、なんにもしないでただ海を見てるって、
ある意味ではすごい無駄ですよね。
でも、携帯の電波も届かない場所なのですが、
なんにも考えず、なんにもしないで海を見ている時間が、私には素晴らしくぜいたくな時間に思えるのです。
とはいえ、「起きてすぐ布団たたんだり、ご飯作ったり、せっかちだよね~。」と友達に呆れられます。笑
もしかしたら、そういう場所に行かないと、自分が何もしない時間を持つことを自分に許してあげられないのかもしれませんね。

宇宙で過ごす無駄な時間
立花隆さんの書いた『宇宙からの帰還』という本があります。
これは、立花隆さんが1981年ころにアメリカ各地をまわって、元宇宙飛行士12人に取材して書いた本です。
「宇宙飛行士」という過酷で特殊な体験をした人たちに、
精神的にどうだったのか?
帰ってきてから自分がどう変わったか?
変わらなかったか?
のような視点でレポートしているものです。
これで私がとても興味深いと思ったのが、宇宙で「無駄な時間」を過ごした人の変化でした。
宇宙飛行士として宇宙にいる間はとても忙しいらしいですね。
やらなくてはならない作業や実験が分刻みにあって、ぼーっとしている時間なんて全くないようです。
ところが、ある飛行士が宇宙船の外に出て作業しているときにトラブルが起きて、
彼はそのトラブルが解決するまで、なすすべもなくたった1人で宇宙空間に浮いているしかないという事態が起きたのです。
トラブルは解決して彼は無事だったのですが、
真っ暗な宇宙空間に1人浮いて、地球や星を見ている時間というのは想像を絶しますね。
彼にその時間のことをインタビューしたら、「神を見た」と言ったとか。
そして、地球に帰ってきてからその宇宙飛行士は宗教家になったのだそうです。
神を見たいかどうかは別として、「一見無駄に見える時間」が彼に人生を変えるほどの大きな影響を与えたのですね。
心にスペースを作る
「がんばり屋さん」と言うと、ほとんどのがんばり屋さんは
「いえいえ、私は頑張り屋ではなくて、結構怠け者なんですよ」
とおっしゃいます。
自覚なく、当たり前だと思ってがんばっている方がとても多いのですよね。
頭で考えていることと、心で感じていることは全然違うことがあります。
特にがんばり屋さんは頭で考えていることを優先させて、心を封じ込めがちです。
がんばり屋さんの自覚がなくても、
「なんか疲れちゃったな」
「取り組んでることがあるけど、どうもうまくいかない」
と感じるとき
「あえて無駄な時間を過ごしてみる」
「生産的ではないと思うことをやってみる」
ことをお勧めします。
例えばいつも行かない高いスーパーに行って買い物をしてみる。
用もない電車の駅で降りて、喫茶店に入ってみる。
会社をさぼって、いつも見ないようなテレビを見てみる。
一見無駄、空白。と思える時間を過ごすことで、
頭で考えていることをいったん停止して、心を優先させられることがあるのです。
焦る気持ちや、自分を叱る気持ちをぐっと抑えて、自分に非効率を許してあげる。
そうすると
違う選択肢が見えることもあるかもしれないし、
なんとなく元気が湧いたりするかもしれません。
少なくとも、たまに優先してもらった心は歓んでいるはずなのです。
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