なんでも「ほどほど」にやれたら良いのに、
つい「やり過ぎて」しまうことがあります。
そこには
「大切なもの」や
「大好きを大事にすること」
のヒントがあるかもしれません。
大好きだとついやり過ぎてしまう
私は2年前に会社員であることを辞めて
カウンセラー、つまりフリーランスで
働くことを選びました。
それまでほぼ40年間、
毎日毎朝、満員電車に乗って会社に行って
日が暮れて1日が終わろうとするまで
仕事をしていました。
家に帰ったら
ご飯を食べてお風呂に入って
眠るまでの短い時間が自分の時間。
まとまった自由時間は週末だけでしたが
週末は家事もたまっているし、
友達にも会いたいし、
あっという間に過ぎてしまいました。
それが。
会社を辞めて
コロナ禍ということもあって
ぱったり外に出なくなったわけです。
フリーランスの仕事は
自分で時間の裁量もできます。
私には、
何十年もやりたくてもできなかったことが
たくさんありました。
かご編み
パン作り
食べたブドウの皮でシャツを染めてみたり
途中で投げ出していた
何十年も前のパッチワークを仕上げてみたり。
私は手仕事みたいなことが大好きなのです。
パンも手でこねて作るとですね
最初はネチャネチャだったものが
だんだん変わってきて、
最後には手の中で
赤ちゃんの肌のように
すべすべのパン生地になるのです。
もう楽しくて嬉しくて。
誰に見せるわけでもないのですが
時間さえあれば没頭していました。
そんな1年間が過ぎたころ
ある朝、目が覚めたら
指が痛くて動きません。
診断は「バネ指」
指の腱鞘炎です。
加齢とか、いろんな原因があるかもしれませんが
要するに使い過ぎなんですね。
痛くてビンのフタも開けられないので
パンもかごもできなくなりました。
心からがっかりしました。
「神様、ひどいじゃありませんか!」
とまで思いました。
しばらくして少し回復してきたころ
まだパンは無理だけど
ミシンならあまり指に力を入れずにできる
と思ってソーイングをしてみました。
楽しい…。
それからブラウスやパンツや
生地を選んでは作り続け、
欲しいとも言われていないのに
友達の分まで縫ったりしていましたが、
今度はミシンが壊れました。
ごめんね、ミシン。
働かせ過ぎたかな。
そこでハタと気が付きました。
私はなんでもやり過ぎるのかもしれない。
今頃気が付いたの?
とひとに言われそうです。
やり過ぎていることには気が付きづらい
心も使い過ぎると痛みを感じることがあります。
例えばの話ですが
遠いふるさとで親が病気になってしまったら
当然、心配ですよね。
でも、すぐに駆け付けたくても
駆け付けられない事情があるかもしれません。
仕事どうする?とか
子供の学校をどうする?とか。
しかたなく、しばらく遠い空の下であれこれと
心配をし続けることになったとします。
心配で心配で夜も眠れない。
ご飯も喉を通らない。
何をしていても楽しくない。
そうなると、親だけじゃなくて
ご自分もなんだか元気がなくなってしまったり
悪くすると具合が悪くなってしまったりしそうです。
実はそんなとき
自分では「心配し過ぎている」
とは気が付きづらいものです。
心はふるさとにいる親のところに
飛んでいってしまっているので、
自分を見てあげていなかったりするのです。
私が以前、働き過ぎていたときも
自分ではまったく
働き過ぎているとは思っていませんでした。
「足りない。
こんなんじゃまだまだ追いつかない。」
と思っていただけです。
その時はひたすら
すごく仕事のできる人や
会社のトップや
自分の手が届かない何かを見ていて、
やっぱり自分を見ていませんでした。
たまに見ることがあっても
「だめじゃないか!」と冷たい目で見ていて
決して優しい目では見ていなかったのです。
結果、そのときは鬱になってしまいました。
心の腱鞘炎みたいなものです。
やり過ぎることの影には大切なものがある
わかっていても、ついやり過ぎてしまう。
つい考え過ぎてしまう。
そんなこともありますよね。
でも
もしかしてやり過ぎ?と気が付いたら
または誰かが教えてくれたら
ちょっと立ち止まって、
自分を見てあげるタイミングかもしれません。
そのときはどうぞ優しい目で。
「私、何が大切なんだろう?」
やり過ぎること・考え過ぎることの影には
あなたがとても大切だと
感じているものがあるはずです。
誰かのことを心配し過ぎるときには
誰かへの愛が。
自分のことを責め過ぎるときにだって
自分にとって何か大切なものを
得たいからなのです。
ちょっと立ち止まって
「私はこれが大切なんだな」
と優しい目で見てあげると、
ほっとひと息つくこともできます。
ほっとひと息つけると
もう一度取り組むのか
違うやり方でやってみるのか
ほどほどにするのか
選ぶこともできるかもしれません。
何よりも
自分にとって大切なものに気が付くということは、
生きるうえでとても素敵なことなのです。
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